昔販売されていた文庫、大判の全集、それらには決まって白い、薄い紙がついていました。紙カバーが一般的になる前のお話です。いわゆるパラフィン紙、グラシン紙というやつですね。
ということで、グラシン紙を購入してきました。本体価格より、送料の方が高くつきました…。orz
グラシン紙の特徴は日焼けに強いことでしょうか。紙カバーはしばらく日光にさらしただけであっという間に退色してしまいます。グラシン紙も真っ茶色になります。これだけではどのように日焼けに強いのかがよく分りませんね。写真で実際に見てみましょう。

写真上部に写っているのが新品の紙、真ん中が変色しているのは三島全集から引きはがした紙です。本に巻かれていた紙の方は色が変わって凄いことになっているのがよく分ります。ここまで来るとグラシン紙はさわっただけでばらばらと崩壊を始めます。これだけ紙が日焼けしていれば背表紙もさぞひどいことになっているでしょう。上下は外箱に守られていますから心配ないにしても。ところが…
見よ!この金色に輝く三島由紀夫全集の文字を!!紫外線に関しては全くのノーダメージです。そう、グラシン紙は紫外線にやられて変色しても文字通り紙一重で、本にそのダメージを伝えないのです。真っ茶色になって崩壊寸前にまでなっても中の本は綺麗なまま。まさしく本の守護者と言えましょう。日焼けがひどい巻の紙を今回は取り替える作業をしました。交換が済んだ本は非常に美しく、往年の輝きを取り戻しました。
しかし、この本にはもう一つ悩みがあります。それはカビです。贅沢な話ですが、この本の背表紙は革でできています。湿気を含んだ革が、カビを呼び寄せ、グラシン紙を巻き込んで心中してくれます。年に一回は外箱から引っ張り出して空気の入れ換えが必要であることを痛感しています。
三島全集を陰干しするのだから当然三島事件があったあの日に毎年やることになるのでしょう。しかし、湿気の多い日本では革装の本は手入れが大変だと思いますよ…。
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テーマ:本とつれづれ - ジャンル:本・雑誌
- 2008/09/13(土) 20:04:46|
- 身辺雑事
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